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歴史の読み方 その3

 俺は歴史が好き、などと普段から広言しているが、よく考えてみると中学校以来まっとうに歴史教育を受けた覚えが無い。高校の社会科は地理だったし。あくまでも趣味の一環として、面白がって各地それぞれの時代の歴史に触れているだけである。受験なんかで日本史や世界史を取っておけばもう少し素養をつけられたであろうに、惜しいことだ。まぁ地理も勉強になったのでよしとするか。

 日本史の中で、ファン層がぶ厚いのは3つの時代に分かれるそうだ。有史以前の古代~邪馬台国の時代、戦国時代、幕末~明治維新の3つである。俺の場合は後者2つに該当するわけだが、といってそれ以外の時代に興味が無いわけではない。単に扱っている本などの資料や面白い小説が無いだけである。

 例えば古代史、邪馬台国の場所なんかについて熱く議論が続いたりもしていたようだが、俺にとってはどうでもよい。志賀島の金印だって眉唾物だと思うし、そもそもの言いだしっぺが魏志倭人伝だ。三国志の魏志、東夷伝、倭人の章…著者の陳寿は蜀の人だし北狄や西戎や南蛮も含めて漢民族以外に対する記述は微妙である。日本の記紀に残る(神武以来の)政権への連続性が無い点も興味を薄れさせる。

 神武以来、といえば学校では日本国の創世に関わる神話もあまりやらないようだ。歴史でなくても他のコマでもやれば良いと思うが。日本はそもそも他の多くの国と同じく多神教で、主神は太陽神ラー…ではなく天照大神だ。原始的な政祭一致の社会で、王は神そのもの或いはその代理として政治を行っていた。この辺は中国でもアメリカでもヨーロッパでもアフリカでも、文明発生期によく見られる累計的なものだ。

 この時期の話はしょせん神話だからどうでもよい、という事は無く、その後の仏教伝来とその土着、現代に続く民間信仰の分析などで極めて重要である。最近の女系天皇論争にしても、天皇家の成り立ちには極めて重要なこの辺の土台を抜きにした評論が目立つ気がする。靖国参拝をめぐる論争でも、東京裁判の経過と評価(そもそもA級戦犯の定義も怪しいが)を無視して話が進むあたり、戦後60年の月日は非常に長いといえる。

 この辺語りだすと紙数が足りんので流すことにするが、日本の神話が書かれたのが古事記と日本書紀だから、壬申の乱の後くらいのハナシだ。この頃に時の政権が諸外国(といっても中国くらいか)に対して主権を主張する必要が生じたのかもしれないし、小勢力との吸収合併の過程でそれぞれの神話を合併したら覚えきれなくなったのでとりあえずまとめたのかもしれない。いずれにせよ必要があって書かれたものだ。

 歴史は事実を累積したものである、というのは基本的な誤りで、どちらかというと落書き的なものである。英仏の歴史は互いの悪口で半分埋まっているし、中国の史書は前政権をこき下ろすのがデフォルトだ。神話は各地のネタを流用・アレンジして組み込んでできあがる。シャーマニズムによる政治から、多少なりとも文明的な政治に至る過程で、天皇家を正当化するためにこれらの神話を仕上げたと考えれば、その妙に卑猥なところも愛嬌に思えてくる。

 古代~中世史はどこの国も肩の力を抜いて楽しみませう。

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2006年09月01日 03:05に投稿されたエントリーのページです。

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